「この会社に入って、家族との時間は守れるのか」。転職を考え始めたとき、私がいちばん気になっていたのはそこでした。

前の会社では、平日は毎日2時間ほど残業し、土曜や祝日も月に1〜2回は出社していました。休みの日も社用の携帯を持たされ、電話に出るように言われていました。

家族との時間を取り戻すために転職して、今は休日に仕事の連絡は来ません。残業は月20時間もなく、有給休暇も取りやすい職場です。この記事では、ブラック企業かどうかを「家族との時間を守れるか」という物差しで見分けるために、私が求人票と面接で確かめたことをまとめます。

家族との時間がなくなる職場で、起きていたこと

最初に、前の職場で起きていたことを書いておきます。

帰りが遅い日が続き、妻に言い訳をすることもありました。当時のことは、やりがい搾取の入口は、月3万円の昇給だったにも書いています。

求人票や面接だけでは、こうした職場の決まりや雰囲気までは分かりません。それでも、入社前に確かめられることはあります。私が見たのは、求人票の書き方と、面接での相手の反応でした。

求人票で外したのは、休みと残業がはっきりしない会社

私は、年間休日や残業時間、固定残業代などがはっきり書かれていない求人は、最初から避けました。残業の少ない会社に転職したくても、求人票に数字がなければ、比べることもできません。

求人に書くべき労働条件は、決まっている

求人を出す会社は、職業安定法にもとづいて、業務内容・就業時間・休日・時間外労働・賃金などの労働条件を明示しなければなりません。厚生労働省のリーフレットでは、時間外労働の書き方の例として「あり(月平均20時間)」を挙げています。

明示する労働条件は、虚偽や誇大な内容にしてはいけません。職場環境も含めて、できるだけ具体的に詳しく示すよう配慮することも求められています。

出典: 労働者を募集する企業の皆様へ(厚生労働省・都道府県労働局)

残業代込みの給料なら、3つの項目を見る

残業の有無にかかわらず一定の手当を払う、いわゆる「固定残業代」の場合、求人には次の3つを書く必要があります。

  1. 固定残業代を除いた基本給の額
  2. 何時間分の時間外手当として、いくら払うか
  3. その時間を超える時間外労働には、割増賃金を追加で払うこと

出典: 同じリーフレット

この3つがそろっていない求人では、給料に何時間分の残業が含まれているのかが分かりません。残業の上限や、自分の給料の確かめ方は、名ばかり管理職かもと思ったらにまとめています。

  • 年間休日の日数と、休日の書き方(土日・祝日など)
  • 時間外労働の有無と、月平均の時間
  • 固定残業代なら、基本給・何時間分でいくら・超えた分の支払いの3つ
  • 休日の連絡や当番があるか(書かれていなければ、面接で聞く)

公的なデータでも、会社を調べられる

求人票のほかに、国が公表している情報で調べられることもあります。私が転職したときに使ったものではありませんが、今から探すなら見ておきたい3つです。

男性の育休取得率は、300人を超える企業に公表の義務がある

育児・介護休業法では、従業員が1,000人を超える企業に、男性労働者の育児休業等の取得状況を年1回公表することを義務づけています。2025年4月からは、常時雇用する労働者が300人を超える企業にも広がりました。

公表するのは、育児休業等をした男性の数を、配偶者が出産した男性の数で割った割合です(育児を目的とした休暇を使った人を含めて計算してもよい)。インターネットなど誰でも見られる方法で公表することになっていて、リーフレットでは厚生労働省のサイト「両立支援のひろば」での公表を勧めています。

出典: 男性労働者の育児休業取得率等の公表(厚生労働省・都道府県労働局)

子育てをしながら働く男性が、休みを取れている会社かどうかの目安になります。ただし、従業員が300人以下の会社は、この公表の義務の対象ではありません。

残業時間や有給の取得は「しょくばらぼ」で見られる

厚生労働省の「しょくばらぼ」(職場情報総合サイト)では、企業ごとに、月平均所定外労働時間(残業時間に近い数字)、正社員の有給休暇の取得日数、育児休業の取得率などを見られます。子育てサポート企業の「くるみん」などの認定を受けているかも分かります。

出典: 就職活動に役立つ3サイトを活用して自分に合う企業を見つけよう(しょくばらぼ)

載っているのは、国のサイトに情報を出している企業です。応募したい会社が載っていれば、求人票の数字と比べてみてください。

法令違反で送検された企業も、公表されている

厚生労働省と都道府県労働局のホームページには、労働基準関係法令に違反した疑いで送検し、公表した事案などが載っています。「ブラック企業リスト」と呼ばれることもあり、企業・事業場の名称、所在地、違反した法律の条項、事案の概要などが分かります。

ただし、載るのは送検などに至った事案で、掲載期間も公表日から概ね1年です。載っていないからといって、働きやすい会社だとは限りません。

出典: 労働基準関係法令違反に係る公表事案のホームページ掲載について(厚生労働省)

面接で、前の職場の話をして反応を見た

面接では、前の会社がどんな雰囲気で、どんなことがあったのかを、正直に話しました。そのうえで、相手がどう反応するかを見ました。

前の職場の話への反応には、その会社で何が「普通」なのかが出ると、私は思います。休日の電話や長い残業を「会社とはそういうもの」と受け止める会社に入れば、同じことが起きても不思議ではありません。

前の会社の面接は、あっさりしていた

今思えば、前の会社に入るときの面接は、だいぶあっさりしていたように思います。人手が足りず、とりあえず誰でも来てくれればいい、という採用だったのだと思います。筋の通った質問や、意図のあるやりとりはなかったように記憶しています。

面接で何を聞かれるかにも、その会社が人をどう見ているかが出ます。仕事の中身や経験について、ほとんど聞かれない面接だったら、一度立ち止まって考えてもいいと思います。

聞きにくいことは、質問にしてもいい

私は前の職場の話をして反応を見ましたが、気になることを直接聞く方法もあります。たとえば、次のような質問です。

  • 休日に、仕事の連絡が来ることはありますか
  • 忙しい時期の残業は、月にどのくらいですか
  • 管理職の方は、ふだん何時ごろ帰っていますか
  • 有給休暇は、どのくらい取れていますか

面接で聞きにくいときは、転職エージェントの担当者に相談してみるのもひとつの方法です。私は、総合型の転職エージェント2社とスカウト型の転職サイトを使いました。使い方は、転職エージェントは何社に登録する?にまとめています。

家族には、求人を一緒に見ながら相談した

家族に転職を反対される、いわゆる「嫁ブロック」という言葉があります。私の場合は、妻に早めに相談しました。

どんな求人があるのか、どこに応募しようとしているのかといったところから、妻と共有しました。実際の求人を一緒に見ながら話を進めていたので、特に心配や反対はありませんでした。

内定をもらってから上司に伝えるまでの進め方は、管理職の退職、引き止められたらにまとめています。

転職して、家族との時間と子育てはこう変わった

人が本来持てるはずの幸せを、今になって実感しています。年収も100万円ほど上がりました(40代の平均年収はいくら?)。

家族とは、一生付き合っていきます。仕事を理由に家族をないがしろにして、関係が薄くなってしまうのは、本末転倒だと思います。

仕事仲間とは、退職するとほとんど付き合いがなくなるとも聞きます。家族はそうではありません。人生で何を大事にするかを考えれば、答えは自然に出ると私は思っています。

今の職場で、家族との時間がどれだけ削られているかは、休日の連絡や持ち帰りの時間まで入れて、実質時給の計算で測れます。

まとめ

  • 年間休日・残業時間・固定残業代がはっきり書かれていない求人は、最初から外した
  • 固定残業代の求人は、基本給・何時間分でいくら・超えた分の支払いの3つを見る
  • 男性の育休取得率(従業員300人超の企業)、しょくばらぼ、法令違反の公表事案でも調べられる。ただし、載っていないから安心とは限らない
  • 面接で前の職場の話を正直にして、「それはおかしい」と言ってくれる会社と話を進めた
  • 妻には早めに相談し、求人を一緒に見ながら進めたので、反対はなかった
  • 転職して、平日の夜や休日に家族で過ごすのが当たり前になり、子育てにも参加できている