「営業しかしてこなかった自分に、ほかの会社で通用するものがあるのか」。転職を考え始めたころ、私はそう思っていました。

私は、ニッチな業界の中小企業で法人営業をしていました。主任から課長になりましたが、職務経歴書に書けるような表彰や、数字の実績はありません。

それでも30代半ばで、隣の業界の法人営業に転職し、年収は100万円ほど上がりました。この記事では、数字の実績がなかった私が評価されたと感じたこと、営業職の求人で避けたこと、転職して変わったことをまとめます。40代の方に向けて、転職して賃金が増えた人・減った人の割合(国の統計)も紹介します。

ルート営業と新規開拓を、両方担当していた

前の会社では、既存のお客さんを回るルート営業と、新規開拓を同時に進めていました。担当していた取引先には、業界で名前の通った大手企業もありました。

表彰や社内コンペのような制度が、そもそもない会社でした。

辞めたいと強く思ったのは、トラブルで上司が出てこなかったとき

営業でいちばんきつかったのは、自分のミスではないトラブルが起きたときです。上司は「自分にはできない」「関係ない」と言って表に出てこず、対応はすべて私がしなければなりませんでした。

事が収まったあとになって、上司からは報告を求められ、「なんでこういう対応をしたのか」と聞かれました。トラブルの最中は、何もしてくれなかったのにです。こうしたことが重なって、辞めたいと強く思うようになりました。

責任を取らない上司がなぜ生まれるのかは、責任を取らない上司が、ダメ出しばかりする理由にまとめています。

数字の実績がなくても、評価されたと感じたこと

担当していた取引先の話で、話が早かった

転職活動では、前の仕事で担当していた取引先の話をすると、話が早く進みました。業界で名前の通った大手企業を担当していたので、こちらの意図もすぐに理解してもらえることが多かったです。

数字の実績がなくても、「どんな相手と、どんな仕事をしてきたか」は伝えられます。取引先の名前を出せない場合でも、規模や業界、付き合いの長さなら話せると思います。

兼務していた仕事にも、反応があった

転職エージェントの担当者からは、やってきたことを、ありのまま職務経歴書に書くよう勧められました。営業のほかに事務や経理まで兼務していたことには、「その経験はいろんな部分で役に立つと思います」と言われています。

管理職だったことは、どの面接でも聞かれました。聞かれたのは、どんなマネジメントをしていたか、部下は何人くらいいたか、自分はどんな仕事をしていたか、です。書類や面接の準備は、転職エージェントは何社に登録する?にまとめています。

転職先は、取引先だった隣の業界にした

今の仕事も法人営業です。業界は前とは別ですが、前の仕事で営業先として関わっていた業界なので、まったく知らない業界ではありません。

まったく別の業界より、隣の業界のほうが、営業の経験をそのまま説明しやすいと私は思います。40代で異業種への転職を考えるなら、今の仕事の取引先の業界から考えてみる方法もあります。

営業職の求人で、避けたこと

求人票で確かめたこと(年間休日・残業時間・固定残業代など)は、ブラック企業の見分け方にまとめています。

40代の転職で、賃金が増えた人は4割を超える

厚生労働省の「令和7年雇用動向調査」によると、転職した人のうち、前の仕事より賃金が増えた人は40.8%、減った人は31.0%でした。年齢別にみると、40代でも、増えた人のほうが減った人より多くなっています。

年齢増加変わらない減少
35〜39歳43.5%28.1%23.9%
40〜44歳44.9%24.6%27.4%
45〜49歳41.1%28.0%30.1%
50〜54歳29.4%26.7%42.0%
全体40.8%25.5%31.0%

出典: 令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況(厚生労働省)の表6「転職入職者の賃金変動状況別割合」

この数字は、営業職に限らず、すべての職種の転職者をまとめたものです。調べた対象は、5人以上の常用労働者がいる事業所に転職した人のうち、前の仕事でも雇われていた人です(自営業からの転職は含まない)。合計が100%にならないのは、賃金の変化が分からない人も含めて計算しているためです。

50代前半になると、減った人のほうが多くなります。転職を考えるなら、まずは今の自分がいくらで求められるのかを知っておくと、判断しやすくなります。年収の相場と市場価値の測り方は、40代の平均年収はいくら?にまとめています。

40代が前の仕事を辞めた理由

同じ調査では、転職した人が前の仕事を辞めた理由も分かります。40代の主な理由を抜き出すと、次のとおりです。

男性

辞めた理由40〜44歳45〜49歳
労働時間、休日等の労働条件が悪かった9.6%7.5%
職場の人間関係が好ましくなかった7.3%13.3%
給料等収入が少なかった9.5%11.5%
会社の将来が不安だった10.7%5.8%
能力・個性・資格を生かせなかった11.0%6.5%

女性

辞めた理由40〜44歳45〜49歳
労働時間、休日等の労働条件が悪かった8.8%13.1%
職場の人間関係が好ましくなかった15.4%11.2%
給料等収入が少なかった11.4%10.1%
会社の将来が不安だった3.8%6.6%
能力・個性・資格を生かせなかった4.6%3.9%

出典: 同じ資料の表5「転職入職者が前職を辞めた理由別割合」。「その他の個人的理由」「定年・契約期間の満了」などは、表から省いています。

男性では、40代前半で「能力・個性・資格を生かせなかった」「会社の将来が不安だった」が、40代後半で「職場の人間関係が好ましくなかった」が多くなっています。女性では、40代前半で「職場の人間関係が好ましくなかった」、40代後半で「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が多くなっています。

給料だけでなく、働く時間や人間関係も、仕事を辞める理由になっています。

転職して、営業の仕事で変わったこと

一人で抱え込まなくてよくなり、気持ちの面でもかなり楽になりました。同じ法人営業でも、社内の雰囲気は会社によってまったく違うと感じています。

特に、社長や上司の能力と人柄で、職場は大きく変わると実感しました。自分のペースを保ちながら働けることは、大事なことだと思います。

40代で営業職の転職を考えるなら

私が転職したのは30代半ばなので、40代の転職は経験していません。それでも、次のことは年代に関係なく役に立つと思います。

  • 数字の実績がなくても、担当してきた取引先や仕事の幅を、出せる範囲で具体的に話す
  • 業界を変えるなら、今の仕事の取引先など、つながりのある業界から考える
  • 歩合やノルマの割合、転勤の有無を、求人票と面接で確かめる

自分の経験がどんな業界から求められるかは、スカウト型の転職サイトに登録すると見えてきます。私は営業職として登録し、いろいろな業界から声がかかりました(ビズリーチを使った記録)。

求人の紹介や書類の相談は、総合型の転職エージェントでもできます。私が使ったのは、リクルートエージェントとマイナビ転職エージェントです。

内定をもらってから上司に伝えるまでの進め方は、管理職の退職、引き止められたらにまとめています。

まとめ

  • 数字の実績がなくても、担当していた取引先や、兼務していた仕事の幅で話が通じた
  • 転職先は、前の仕事で取引先として関わっていた、隣の業界にした
  • 歩合の割合が高すぎる求人やノルマ頼みの営業は避け、転勤がないことを条件にした
  • 40代で転職した人は、賃金が増えた人が4割強、減った人が3割前後(厚生労働省、令和7年。職種を問わない統計)
  • 転職して、ノルマはなくなり、顧客対応は会社全体でするようになった。職場の雰囲気は、社長や上司で大きく変わる